モルディブブリッジ
インドから南に位置する島、モルディブ島。
インド洋に浮かぶ島々は、
そのあまりの美しさからこの海域を
航海していた人々が
「真珠の首飾り」と名付けたほど
目の前にブルーな海と真っ白砂浜が広がっている
まさにリゾート地。
このリゾート地にハネムーンで訪れる人が多い中、
ある男がこの地に降り立った。
「ここがモルディブかぁ〜」
この男の名は「陳 峰」。
世界各国を股にかけてきた冒険家だ。
この男がモルディブに降り立った目的はただ一つ。
【伝説のモルディブブリッジを見つけること】
橋が存在しないモルディブに、
誰もが息を飲むような美しい橋があるという。
男はこのモルディブブリッジを見つけるため
早速、島の住人に聞き取り調査をした。
しかし、島の住人に聞いても全く情報が集まらなかった。
だが、この状況に男は燃えていた。
「すぐに見つかっては冒険家の名が廃る」
男はモルディブの様々な場所を自分の足で調べ回った。
僻地にあるジャングルの中
海底の中
無人島の中
ありあらゆるところを駆け回った。
だが、手がかり一つ掴めない。
そして、そんな状態が3ヶ月続いた。
さすがの男もバーでウィスキーを飲みながら
現状に頭を抱えていた。
「ここまで情報が得られないとは…」
冒険家を始めて20年。
こんなに情報が集まらないのは初めてだった。
「はぁ〜〜〜」
とため息吐いていると
「モルディブにため息は似合いませんよ!」
と後ろから声を掛けられた。
男は酔っ払いながら後ろを振り向くとそこにはスタイルの良い女性が立っていた。
「何をそんなに落ち込んでるですか?」
「あぁ、あやかさんか…ちょっと仕事でね…」
「そんなに気負い過ぎちゃダメですよ!もっと楽しくいきましょう!」
ヨガインスタラクターのあやかさん。
3年前からヨガインストラクター講師として
この島に降り立った。
あやかさんとは聞き取り調査の時に仲良くなって
よくこのバーで会うようになった。
「こんなに見つからないのは初めてだ…」
「そんな時もありますよ!」
男はそうかなぁ〜と呟きながら、ウィスキーを飲んだ。
「そんな辛気臭い顔してたら、見つかるものも見つかりませんよ!今日は私がとことん付き合いますから、明日からまた頑張りましょう!」
そう言って2人は乾杯をした。
「ピッピッピッピッピッピッ…」
部屋中に鳴り響くアラーム音。
男は携帯のアラームを消し、天井を見上げた。
「どこだ?ここは?」
どうやら昨日飲み過ぎたらしい。
ベットから起き上がり、部屋見渡した。
どうやら寝室みたいだ。
部屋の壁には写真が飾られてあり、
そこにあやかさんとヨガの生徒が
一緒に写っていた。
「ここはあやかさんの家か…」
正直、あの乾杯以降、あまり記憶がない。
「やってしまったなぁ〜…」
そう呟いて、男は寝室を出た。
寝室を出るとそこはリビングで
いつも食事をしてるのであろうテーブルに
置き手紙が置いてあった。
「おはようございます!
昨日はよく眠れましたか?
よかったらシャワー使ってください。
私はバルコニーでヨガをしていますので
気になさらずゆっくりしてください。」
「ヨガ?」
そう呟いて、バルコニーに続くであろう
窓を見た。
カーテンが閉められており外が見えない。
男はヨガに少し興味があったので
そーっとカーテンを開けて覗いてみた。
すると、そこで男が目にしたものは
「モルディブブリッジ……」
もしこんなシチュエーションになったら
あの岡本を震え上がらせます。
作者:弁朕