物的証拠

いつも思うことがある。

なぜ、男と女が一緒にいる必要があるのか。

そう思いながら、俺は月9を眺めていた。

 

「腹減ったなぁ〜、コンビニでも行くか!」

 

そう言って、俺はテレビを消した。

「ガチャ!」

(鍵は閉めたっと…)

 

俺は別に童貞でもないし、店で済ませてるわけでもない。

普通の人生を歩んできたつもりだ。

彼女も数人いたし、そのそれぞれと経験はしてきた。

だから、あっち系でもないし、童貞の負け惜しみをしてるわけでもない。

 

 

「いらっしゃいませ〜」

 

 

いつも行くコンビニ。

俺は弁当コーナーへ行った。

 

「特にないなぁ〜」そう思って、次にインスタント食品のコーナーに行くとある女性が先にいた。

 

「えぇ〜!UFOないじゃん!」

 

どうやら酔っ払っているようだ。

 

あまり絡みたくない。

 

だけど、俺は彼女が探しているUFOを見つけてしまった。

 

言うかどうか迷ったがいつまでもここで駄々をこねられていそうでそれではお店に迷惑を掛けそうだったから「あの〜、UFOありますよ!」と言って彼女にUFO差し出した。

 

すると、彼女は

「おぉ!あんじゃん!あんたありがとうね!」

「いえ…」

そう言って彼女はレジへ向かっていった。

 

ギャルと清楚の合間の女子という表現がぴったりな女性だった。

 

世間一般からすれば可愛らしい、綺麗な女性だったと思う。

でも、あんな姿を見せられては幻滅だ…

そう思いながらレジに行く彼女をよそ目に、インスタントコーナーを見た。

 

いろんなインスタント食品があるが、結局、俺もUFOを食べたくなりUFOを選んで、その他気になるもの手に取りレジに持っていった。

 

「ありがとうございました!」

 

店員が入れてくれた買い物袋を持って、出ようとするとさっきの女がUFOにお湯を入れるためか電気ポット前に立っていた。

 

「なにこれ〜!お湯出ないんだけど!!スミマセ〜ン!」

 

俺はすぐさま彼女に駆け寄り、電気ポットのロックボタンを解除した。

 

「これでお湯出ますから!」

「ホントに?ありがとうございま〜す!」

 

アホな女だ。

こういう女は嫌いだ。

俺は怪訝そうに見る店員さんに軽くお辞儀をして店を出ようとすると、彼女が突然、

「熱いーーーーぃ!」

と叫び出した。

 

詳しい状況は見ていなかったが、たぶんお湯を自分の指を掛けたのだろう。

床にUFOの麺が散在していて地獄絵図だった。

「もぉ〜最悪ぅ〜!」

と言って彼女は濡れた服と汚れた床を見ていた。

放って帰ろうかと思ったが、彼女がその哀れな状態で俺の方を見てきたので、なんか逃げようにも逃げられず介抱することにした。

 

店内を掃除するのを手伝って、俺は彼女を連れて店を出た。店から出ると彼女が俺に向かって「あんた誰?」と訊いてきた。

 

俺は「それはこっちのセリフです!」と答えると「そうだよね〜」と言って笑い始めた。俺が「家はどこですか?」と訊くといきなり何かを思い出したかように「あっ!」と大声を出した。

 

何かと思えば「UFO持って来るの忘れた!」と言い始めた。

 

さっき、自分が溢したのも忘れてやがる、どんだけ酔ってんだよと思いながら「UFOはここにあります!」と言って自分が買ったUFOを見せた。

 

それに安心したのか「良かったぁ〜」と言ってその場にしゃがみ込んだ。

 

おいおいマジか!と思いながらも彼女に「どうしたんですか?」と尋ねると彼女は「もう歩けない!」と駄々をこねはじめた。

 

俺は仕方なく彼女をおんぶすることにした。

 

 

 

「家はどこなんですか?」

「………」

俺は彼女を背負いながら訊いたが返事がない。見ると彼女は気持ちよさそうに寝ていた。

 

「勘弁してくれよ〜」

 

そう呟いて、仕方なく自分ん家に連れて帰ることにした。

 

「これって朝起きたらめんどくさいことになるだろうな…」

そう思いながら、俺は彼女をベットに寝かせた。

俺は買ってきたUFOにお湯を入れた。

 

22時を過ぎていた。

 

俺はUFOを食べながら少しテレビを見た。

そして、食べ終わるとテレビを消してソファで寝ることにした。

 

 

 

「ピッピッピッピ ピッピッピッピ」

 

目覚まし音が鳴った。

俺は目を覚まして会社に行く支度をし始めた。ある程度支度が出来たところで、そぉーと寝室を見た。

 

まだ彼女はぐっすりと寝ていた。

 

起きた時、騒がれて物を壊されても怖いから、俺は置き手紙を書いておいとくことにした。

 

当たり障りのない手紙を書き、テーブルの上に鍵と一緒に置いた。

 

再度、手紙に1003のポストの中に入れておくように書いてあることを確認して俺は会社に向かった。

 

 

 

「お疲れ様です〜!」

会社も終わり、帰宅することにした。

 

そう言えば、昨日の彼女どうなったかな?

ちゃんとポストに鍵入れて帰ったかな?

 

そう思いながらマンションに着いた。

 

俺は1003のポストを開けた。

鍵があった。

 

「良かったぁ〜」そう思いながら、俺はエレベーターで10階まで上がった。

 

今日は昨日みたいに夜、コンビニに買いに行かないように予め夜食を買っておいていた。

 

家の前まで来て、俺はポストに入っていた鍵でドアを開けた。

 

「ただいま〜」

 

と言ってドアを開けると部屋に明かりがついていた。

 

あれ?電気つけっぱなしで出たかなと思っていると中から「おかえり」という声がした。

 

「えっ!?」俺はすぐさま部屋に向かった。すると昨日の女がリビングでテレビを見ていた。

 

「何してるんですか?」

「何してるんですかってテレビ見てんの!」

「そうじゃなくて、俺が言いたいのはなんでまだあなたがここにいるかを訊いているんです!」

「ねぇ、タメ語でいいよ!そっちの方が明らかに年上でしょ!」

「そういうことではなくてですね…」

「あぁ!UFO!」

 

そう言って彼女は俺が持っていた買い物袋を取った。

 

実は昨日、UFOを久しぶりに食べて意外と美味しかったから今日も買ってしまっていたのである。

 

「そりゃ昨日食べてないからな…」

 

俺は小声で言うと、彼女は興味もないくせに「なんて?」と言葉を発して俺が買ってきた物を漁ってた。

 

「ねぇ!お湯どうやって入れてるの?」

彼女は人の家だと御構い無しに台所を歩き回っていた。荒らされるのも嫌だった俺は電気ケトルに水を入れてスイッチを入れた。

 

「おぉ!やるじゃん!」

 

そう言って彼女はUFOの火薬を容器に入れ始めた。

 

「いつになったら帰るですか?」

「あんたが私をここに連れてきたんだから、私がいつ帰ろうが勝手でしょ!」

 

なんだよ、その理論は!と思いながらも俺は彼女に質問を続けた。

 

「あなた、歳はいくつですか?」

「レディーに年齢聞くなんて失礼だよ!女の人に対する礼儀知らないの?そう言えば、あんたの家、女の匂いがしないよね!まさか、彼女いないの?」

「いないよ!」

「なら、童貞?」

「なんでそうなるだよ!」

「童貞なんだ!」

「童貞じゃねーよ!」

 

俺がそう言うと彼女はふーんとした顔でこっちを見た。

 

「ポッ」

 

電気ケトルがお湯を沸かした音がした。

音がした同時に彼女はケトルのところへ行き、UFOにお湯を入れ始めた。

 

「朝から何も食べてなかったんだよね〜」

そう言ってUFOの蓋を閉めた。

 

「そう言えば家にいるならなんでポストに鍵入れてんだよ!」

 

もう敬語を使わなくなっていた。

 

「驚かせようと思って!」

 

いたずらっぽく笑った。

俺はため息をつくと続けて彼女に話した。

 

「てか、知らない男とその部屋で怖くねーかよ?」

 

「まぁ顔見てヤバそうな人だったら、すぐ帰ろうと思ったけどあんたからは危険な匂いがしないからいいかなぁ〜って!」

 

そう言って湯切りが終わったUFOにソースを入れて食べ始めた。

 

「逆にさ、あんたも女が部屋にいるのに襲わないわけ?」

 

「別に興味ないからな!」

 

「えっ!あんたそっち系?」

 

「違う!別に女が必要とあまり感じないだけだ!」

 

「へぇ〜…」

 

そう言って彼女はUFOを啜った。

 

俺が買ってきたUFOは見る見るうちなくなっていった。

余程、お腹が空いていたんだろう。

 

「じゃあさ、私ってあんたにとって魅力的に見える?」

 

「はぁ?世間的には魅力的なんじゃねーの!」

 

「世間的とかじゃなくて、あんた自身だよ!」

 

「俺自身?別に魅力的じゃねーけど!」

 

「そうなんだ…」

 

そう言って何か企んだような笑いをした。そして、彼女は立ち上がり

 

「今日はもう遅いから、今日も泊まっていくね!」

 

「おい!」

 

「ねぇ!お風呂貸して!昨日から入ってなくて体ベトベトなの。ねぇ、いいでしょ?」

 

そう言って俺の許可をもらうことなく風呂場へ歩いて行った。

 

「なんて傲慢な女だ」俺は呆れ返っていた。

 

でも、こんな風に女と喋るのはなんか久しぶりな感じがした。

 

 

彼女がシャワーを浴びている音がする。

 

普通ならテンション上がるところだが、俺にはどうでもよかった。

 

それ以上に早く帰ってくれとしか思わなかった。数分して彼女が風呂から上がってきた。

 

「お前さ、明日こそは絶対かえ……」

 

俺は風呂から上がってきた彼女を見て、唖然とした。

 

なんと彼女はブラとパンツしか履いてなかったのだ。

 

「いい風呂だったよ!」

 

そう言って持っていた私服を椅子にかけ、自分もその隣の椅子に座った。

 

そして、テーブルの上にある雑誌を読み始めた。

 

「で?なんか言いかけたよね?」

 

と言って俺を見てきた。

 

俺は「いや、何にも…」と言って彼女から目を逸らした。

 

すると彼女は「やっぱりこれでは寒いか」と言い出して持っていた私服の上の1枚だけ着始めた。

 

その一枚がスケスケの上着で、その上着ではブラは隠れず、逆に透けてみえるからエロさが増していた。

 

俺は無意識に彼女の身体を見てしまっていた。それに気づいたのか彼女は俺の方を向いた。

 

「何見てんの?」

 

と訊いてきたが、俺は彼女がこっちを向くと同時に別の方向を向いたため「別に見てねーし」と誤魔化した。

 

だが、俺の下は嘘をつくことは出来なかった。

 

彼女はそっぽ向く俺に対して

少し笑って「ねぇ!」と俺を呼んだ。

 

俺はゆっくりと彼女を見ると彼女は俺の下を指差しながらこう言った。

 

 

 

 


「物的証拠❤️」

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もしこんなシチュエーションになったら、頼むから俺のチンコを古墳に埋めてこれ以上使えないように埋葬してくれ!!

 

 

 

 

作者:弁朕